第21回 
Turning
Summary 2003,11,30 


(Turning)
しおぴー
 三人の老女がタクシーを降りて、ひょこひょことある家へ向かって歩く。その家では幼いぼうやが三人を待っているのだ。
 家に着くと、ぼうやの母親がデコレーション・ケーキを持ってくる。ろうそくが四本。老女の一人、ルイーズが「ロバートって書いてあるよ」と言う。ぼうやはおかしそうに笑って「だって、ぼくの誕生日だもの」と答える。
 ロバートぼうやはプレゼントの箱を開ける。ルースおばあさんからは、その節くれだった手からは想像もできないが、お手製のライオンのアップリケを施したシャツだった。
 オリビアおばあさんからは、クレヨンのプレゼント。ロバートぼうやはさっそくそのクレヨンで三人のおばあさんの絵を描き、これをオリビアおばあさんにプレゼントする。おばあさんたちは大喜びで、絵を愛でた。
 ルイーズおばあさんからのプレゼントの箱には、蝶ネクタイがいっぱいに詰まっていた。あんまりたくさんで、まるで何かの動物のようにも見えた。ロバートぼうやは、その中身を見るのは後にして、箱をそのままにしておいた。
 ロバートぼうやがケーキを取り分けると、三人は鳥がエサをついばむように、ケーキを食べた。さて、お話の時間だ。母親は皿を下げて、部屋を出た。

 皮膚のない皇帝のお話です。皇帝は、どうして自分だけに皮がないのかが不思議だったし、お后が欲しいと思っておりました。それ以外に不満はありません。皇帝は聡明でしたから、自分の存在そのものが謎解きなのだということに気がつきました。そして、この謎を解くことができた姫をお后にすることにしたのです。ある姫は、皇帝に皮膚がないのは、世界とより密接に接するためでもあり、また小さな痛みを感じないためでもあると言いました。そして、自分の皮膚を脱ぎ捨てて、皇帝と同じようになり、お后となりました。

 老女たちはロバートぼうやにこの謎解きをするよう求めた。ぼうやが「皇帝に皮膚がないのは、結婚する前に、自分の内面を見つめることができるから」と答えると、オリビアおばあさんは「すばらしいわ!」と言い、他の二人もロバートぼうやを褒めそやした。
 オリビアおばあさんは、帰り際にロバートぼうやに「謎解きをした後で、教訓を求めてはいけないよ、決してね」と言った。
 そして三人は、タクシーに乗り込むと、白い手袋をした手を家の窓の向こうに向かって振った。

*****

こんばんは。
まず、タイトルをどう訳せばいいのか、よくわかりません。うう…。結局、読みが浅いんでしょうね。転換、変換、分岐点…。うーん。
ところで、お姫様のお誕生日に、お祝いにきて、贈り物をするいい魔女って、おとぎ話にありますよね。この短編からそんな雰囲気を感じたのですが、どうでしょうか。
私は、この作品、とってもファンタジックな印象を受けました。

ここまで
ごえべえ
 三人のエレガントな老婦人が、タクシーから降りて、ある家に向かった。きっと小さな坊やがカーテンの陰から見ているだろう。家に入ると、三人は、アン女王椅子にくっついて腰掛けた。その様子はまるで立派な水鳥のようだった。
 男の子の母親が四本のろうそくを刺したケーキを運んできた。
「おや、このケーキ、ロバートって書いてあるよ。、坊やと同じ名前のケーキだね」と最初の老婦人が言った。
 男の子は大笑いして、カーペットにひっくり返った。
「違うよ。僕の誕生日なんだ。ルイーズ・ディア」
 三人の老婦人のことを男の子はそれぞれ、「ルイーズ・ディア」「オリヴィア・スウィート」「ルース・ラブ」と少々形式ばってそれぞれ違いをつけて発音した。男の子が名を呼ぶとき、老婦人たちの老いた肉体に、喜びがさざ波のように広がって行くように感じられた。
 ライオンをアプリッケトしたシャツ、クレヨンと画用紙を老婦人たちからプレゼントされた。
 男の子はそのクレヨンで、腕のない皺くちゃの顔から直接、細い指が突き出している、腕なしの形を描き、注意深くそしてくっきりしたおへそを描きこんだ。そして、その絵をオリヴィアに渡した。
「坊やの誕生日にプレゼントをもらえるなんて思ってなかったよ」と彼女は喜んだ。
 もうひとつ包みをプレゼントされたが、坊やはそれを開けずに、とっておくことにした。
 坊やはオリヴィアの膝に乗り、彼女の絹のドレスを湿った手でクチャクチャにして「お話をしようよ」と言った。
 オリヴィアは「皮膚のない皇帝」の話を始めた。
 ルイーズが「服もない」、ルースが「肉もない」と付け加えた。
 どうして皇帝には皮膚がないのか、皇帝は、謎を明らかにしたお姫様と結婚することにした。物語は、何人目かのお姫様の話はロバートが話し出した。
「そのお姫様は赤と青と緑の肌をしていて、とってもきれいだったんだ。彼女は皇帝に素敵な皮膚をプレゼントしたの。彼女の大好きな犬の皮だった。王様はとっても気に入った。毛でフワフワしてて、おまけにしっぽがあったから」
 「でも、謎の答えにはなってないわ」とルイーズ。
 「だけど、それで答えになってるのよ」とオリヴィア。
 「謎は動物は素敵な皮膚を持ってるし、人間はしっぽがほしいからだよ。肌がなかったから、王様にしっぽのある皮膚をみつけてあげえられたんだもん」
「それじゃあ、十分じゃないわね」とオリヴィア。
「じゃあ、結婚する前に自分の内部を見つめることができたから」
「すばらしいわ!」オリヴィアはほめちぎった。
「もし、十分時間をかけたら、尻尾のある皮膚を見つけられるんだ」
 その答えはそれほど、ほめられなかった。でも、ロバートは一ダースのお姫様としっぽを交換してもいいのになと思った。
 老婦人たちは立ち上がり、ロバートにキスした。
「ロバート、謎を見つけた後に、教訓を探しちゃだめよ」とオリヴィアは言った。
 三人の老婦人はタクシーに乗り込み手を振って去っていった。


しおぴーさん 私もタイトル、悩みました。「謎を解いたあとに教訓を探しちゃダメよ」というので、謎を解き明かすだけで十分で、それ以上はいらない、それ以上になるところが turning なのかな、と思いました。
翻訳のタイトルはなんなんでしょうね?

そういうお姫様の御伽噺、知りませんでした。
確かにこの物語、ファンタジックですよね。可愛くて。坊やも老婦人たちも。皮膚のない皇帝って、骨だけの人なのかしら?

 
今回からMegumiさんがお休みで、また二人に。(T.T)
でも、今回のお話はとっても可愛かった。坊やと坊やを愛する三人の老婦人が坊やの誕生日を祝うお話。
お話の中の話、「皮膚のない皇帝」の話も不思議で愉快な話でした。
しおぴーさんのおっしゃる御伽噺、ちょっと探してみるつもりです。
単語/勉強会HOME/掲示板/おすすめ洋書
 映画のことはハリポタ勉強会
お勧め辞書
Longman Dictionary of Contemporary English /American Heritage College dictionary/Colins COBUILDCD-ROM/小学館ランダムハウス英和辞典CD-ROM/世界最大!100万語収録CD-ROM英和和英辞書『英辞郎』
お勧め辞書サイト
Bartleby com/インフォシーク英和辞典/RNN時事英語辞典/Dictionary com/LYCOS:ディクショナリィPowered By バビロン